最近、「背の順」が差別にあたるとかって話題で盛り上がってると聞いた。
僕の身長は164センチ。低めの身長である。
僕自身は身長にコンプレックを感じた事は一度も無い。
今はどうだか知らないけど、出席番号1番だという理由で雑用やらせる方がどうかと思ってた。
背の順とか懐かしいなぁ。
当事者がそう思うんなら対処すれば良いんじゃないかな。
背の順に対する意見とかじゃなくって、僕のただの思い出話なんでヨロシク。
小学生時代
僕は小学生の頃、縦にも横にもデカかった。
もちろん、背の順は顔パスで最後尾。
席替えをすれば、視界を遮る為に後ろに回された。
運動会の組み立て体操では、打ち合わせるまでもなく土台である。
このポジションは性に合っていた。
「さぁ、乗りな。クレバーに支えてやる」
僕の恵まれた体格での土台は、母なる大地を思わせる安定感で大好評だった。
太っていた事をからかわれた事があったけど、自分が太っていることは普通の世界だった。
「そんな事言われてもねぇ」と困る事はあったかな。
小学生にしては背が高いデブ。というカテゴリーに良いも悪いも感じていなかった。
僕にとっての普通の世界。
背の順は比較ではなく、後ろの人の視界を遮ってしまう可能性の排除として、僕もありがたかった。
異変
中学生になった頃、異変が起こり始めた。
中学校入学の春、背の順BIG3から外れた。
「まぁ、こんな事もある。組み合わせが悪かったな」
その時はあまり気にしていなかった。
しかし、夏休みを過ぎる頃。
様子がおかしい。
背の順で並ぶと、前が見えないのだ。
背の順に並ぶと、順調に株価を上げてるチャートの様に、僕の位置で株価が少し落ちるのだ。
そう。
周りのみんなが成長期に突入したのである。
しかし、成長期なのは僕も同じ。
「束の間の勝利を味わってなよ。すぐに追い抜くからさ」
前えぇー!ならえッ!!
気がつくと僕は、最前列で腰に手を当てていた。
どうやら僕は、小学生のうちに成長期を使い果たしていたようだ。
バディとの再会
中学3年の体育祭。
組み立て体操の打ち合わせの時間。
クラスを支えた母なる大地は姿を消していた。
成長期の波に乗れず、更にはダイエットに成功していたのだ。
過去にクラスを支えた巨木は、頼りない小枝になったいた。
組み立て体操のバディ決めは、背の順が基準になる。
背の低い子から順に5人が乗り手。
6人目から10人目が土台。
1番と6番、2番と7番…といった形でバディが決まる。
僕のバディは、小学生の頃に組んだ相手だった。
「あんなに小柄だった君が、こんなに大きくなって…」
親戚の叔父さんの様な気持ちになったのを覚えている。
そんな感動的な再会をしたが、立場は逆転していた。
小学生の頃は、僕が土台、バディが乗り手。
しかしその時は、僕が乗り手、バディが土台になっていた。
周りを困らせる少年
僕は小柄ではあったが、培った体幹があった。
小柄ながらも、大きく身体を広げても安定感のある乗り手。
乗り手として優秀だった。
しかし、心は土台だった。
過去の栄光が忘れられなかった。
チッタ「土台が良い!!」
バディ「いや、無茶だ…」
身長差は10〜15センチはあっただろう。
チッタ「イケる!!」
イケてしまった。
そうしてふたり型の乗り手と土台を勝手に変更した。
更にチッタは無茶を言う。
ピラミッドの1番下の土台やりたい!!
一同「無茶だ!!」
無茶だ。
その話は他のクラスにも広まり、流石に担任から個人面談が入った。
お前が輝ける役割
担任「危険すぎる。許可は出来ない」
チッタ「イケる!!」
担任「なぜ土台にこだわる?」
チッタ「土台はデブがやるものと相場が決まっています!!その役割を全うしたいのです!!」
担任「いや、お前太ってないよね…」
チッタ「心は太った土台のままでアリマス!!」
実に困った坊やだ。
しかし、この担任はやり手だった。
担任「役割と言ったな。」
担任「乗り手としてのお前は、とても美しかった。
過去のお前は、土台として立派に役割を全うしたんだろう。
しかし、今のお前が1番輝けるのは、乗り手としてのお前だ!!
今度は美しい乗り手として、その役割を全うしてみないか?」
チッタ「!?」
そうなのだ。
大柄には大柄の。
小柄には小柄の。
それぞれに違う輝けるの役割があるのだ!!
チッタ「やる…」
担任「土台を、か…?」
チッタ「違う…。」
チッタ「俺、乗り手やるよ!!」
チッタはチョロかった。
手にしたカード
身長は自分でコントロールしきれない。
それを目の当たりにしてしまう背の順を差別だと当事者が声を挙げるなら、それは対処していったほうが良いと思う。
けれど、世界は不平等なもの。
身長に限らず、自分ではどうにも出来ないものは沢山ある。
配られた手札に不満を挙げるだけじゃなく、その手札の輝ける使い道を探る方が楽しく生きられるんじゃないかと思う。
背の順を廃止するのも良いと思う。
だけど、その子の身体的特徴は変わらない。
廃止で満足するのではなく、その後、その子が輝ける役割を一緒に探っていく事が大事なんだと思います。
チッタさんもこちら側だったんですね(ニヤリ
こちら側?僕はアブノーマルじゃないですよ?