文字通り、血液を吸われる事への耐性。
先天的なものか、後天的なものかはわからないけれど、僕はそんな体質らしい。
僕の左腕は採血が難しいのだ!!
この体質に気づいたのは、治験ボランティアをしていた頃である。
知らない人の為に軽く説明します。
病気した時なんかに飲む薬があります。
新しく出来た薬、又は、既に流通している薬の量を増やしたり、別の用途での処方をする為には、臨床試験を行なった後に治験でデータを取る必要があります。
治験ボランティアは、薬を飲んでデータ収集に協力する人です。
データ収集の為に何度か採血をするのですが、そこで自分の体質に気づいた訳です。
自分の体質を知らず、左腕を差し出す。
すると、どうも様子がおかしい。
採血が苦手な看護師さんもいるのでしょうが、みんなが苦戦する。
「どこ!?どこなのよぉぉーーー!!」
必死で僕から吸血しようとする姿は、凄く輝いて見えた…。
それから僕は、職場の健康診断の際に彼女(彼)達に挑戦する事にした。
チッタ「さぁ、採ってみな…」
ボス「煽ってんじゃねーぞw」
おやおや…。
ギャラリー(上司)が喚いているな…。
お し ず か に。
マナーは守りなよ。
あ、ちょ…痛い。激しくしないで…。
「やれやれ、こっちで採りなよ。」
と右腕を差し出して、勝利を噛み締める。
やめられない。
今年も健康診断の時期が来た。
今年転職した為、新しい挑戦者の顔ぶれ。
今回のチャレンジャーはどんな人かな?
ほうほう、中々経験豊富そうじゃないか。
10歳くらいの子供がいそうだな。
実に良い。
和菓子が好きそうだ…。
「あ、ごめんなさい。あまり動かすと痛いですよね…。」
「もう少しでいけそうなんですけど…当たってる、これかな…」
よく喋る人だ。
「あのぅ…すみません…。こっち(右腕)でもう一回、…良いですか…?」
えっちだ。
腫らした左腕を見ながら思う。
過去にひとりだけ、一瞬でキメた人がいた。
敬意を込めて聖母(マザー)と(勝手に)呼んでいる人。
彼女は元気だろうか。
このまま挑戦を続けていれば、また彼女に会えるだろうか…。
体重が5キロ増えました。