誰でも「都合の良いコジツケ」というものをしてしまう時があると思う。
全く別の出来事なんかを無理矢理繋ぎ合わせ、「原因はこれなんだ!」「だから自分は悪くないんだ!」と都合良く解釈する。
そんな都合に良いコジツケ。
僕だってするし、周りの人の話を聞いて「うーん…それは少し無理がないかなぁ…。」と思う事がある。
モチロン、僕の母と兄も「コジツケ」は大好きだ。
しかも「えぇ…。そこぉ?」と、実に難解な「コジツケ」を披露する事があった。
今回はそんな話。
目次
もうひとりの家族。
いつものウザ絡み
あれは僕が高校を辞めてプラプラ遊んでいた時期だったと思う。
16歳か17歳か。
兄との関係が良好な頃だと思う。(当社比)
ニーさん「チッタ。お前にはもうひとり家族がいる。」
兄が突然よくわからん事を言い出した。
まぁ、よくある事だ。
要するに、いつもの兄上様のご戯れなんだろう。
- ニーさん「もうひとり家族がいる。」
- ニーさん「カーさんに聞いてみろ。」
- チッタ「ニーさんが家族がもうひとりいるとかって言ってるけど?」
- カーさん「いるわけないじゃん。」
- ニーさん「m9(^Д^)プギャー」
この流れをやりたいだけなのだろう。
まともなコミュニケーションの取り方を学んでこなかった兄が出来る唯一の方法。
「ウザ絡み」である。
心底めんどくさい。
案の定、兄は母へ電話する事を僕に強要した。
「あーはいはい。わかりましたよめんどくさい。」
といった感じの態度を取った僕に、珍しく兄の声に「怒気」がこもった。
ニーさん「マジメにやれ。」
兄は100点満点の「かまってちゃん」である。
僕がめんどくさそうにしても、なんだったら不機嫌になろうが怒ろうが「リアクション」を見て喜ぶ人だ。
※補足
僕のブログを読んでくれている人は混乱しているかもしれない。
「お前ら(僕と兄)、仲良くね?」と。
確かに、この頃の僕と兄の関係は、それ程悪くない。
この頃の関係は「ウザ絡みする兄」と「振り回される弟」くらいのモンだった。
しかし、幼い頃の僕は、兄から「痛みと恐怖」で支配されていた。
詳しくコチラからどうぞ↓
「暴力的支配者の兄」「僕にウザ絡みをする兄」「母に無茶苦茶な要求をする兄」
全て同一人物の「兄」であり、時期によって僕との関係性は少しずつ違いがあったに過ぎない。
「暴力的支配者の兄」とは「別人格の兄」との話。くらいの感覚で読んでもらえるとわかりやすいかと…。
初めて知った事実
さてさて話を戻しまして、普段とは違う兄の反応を怪訝に思いながらも僕は母へ電話した。
カーさん「どうしたの?」
チッタ「ニーさんがもうひとり家族がいるとかって言ってます。」
カーさん「いないよ。またよくわかんない事言ってもぅw」
あーはいはい。
また茶番に付き合わされたのね。
ホント、何が楽しいんだか…。
チッタ「(兄に向かって)いないらしいですよ?」
僕が兄に伝えると、兄は僕の電話を取り上げて母にブチ切れた。
「なんで隠す?」といった内容で、兄は電話越しの母に問い詰めていた。
まだ続くの?この茶番…。
兄は僕に電話を返し、僕にも母へ問い詰める事を強要する。
はぁ…。めんどくさい…。
再度、母に同じ事を尋ねる。
電話越しの母の元気は無く、気分が沈んでる様に思えた。
そして、「もうひとりの家族」という話は概ね事実らしい。
母は昔、流産をしたそうだ。
兄にとっては妹か弟。
僕にとっては姉か兄。
残念ながら生きて産まれてくる事が出来なかった「もうひとりの家族」というのは、確かに存在した様だ。
その事実を僕は初めて知った。
「性格悪ぅ〜…。」
僕の頭に真っ先に浮かんだ言葉だった。
モチロン、兄に対してだ。
「その事実」に対しては、「そりゃあお気の毒に。」程度のモノだった。
だけど兄にとっては「なぜチッタに隠す必要がある。」という事なんでしょう。
いやでも、別に言わなくて良くない?
母親として、女性として、「この事」をわざわざ口の出すのが苦しい事は僕にもわかった。
わざわざツラい過去を引っ張り出してまで、大して関係の無い僕に話す必要があるだろうか?
兄がどんな経緯で知ったのかはわからないが、あえて「事実を知らないチッタ」から問い詰めるマネをさせた兄。
兄の母に対する憎しみなのかもしれないが、なんだかなぁ…。
心底、兄を「性格腐ってんなぁ…。」と思う出来事だった。
兄の告白
兄の性悪が露呈した一件から数年が経過した日の出来事。
僕は実家を出て、ひとり暮らしをしていた。
実家には母と兄がふたりで生活をしていた。
兄から母への無茶苦茶な要求が酷かった時期のお話。
僕と母が何かしらの要件で話していた時だ。
急に母が「ポロッ」と言い放った。
カーさん「ニーちゃんがね、性同一性障害なんだって…。」
母は兄から「そう」告白をされたらしい。
性同一性障害については、「カラダの性別」と「心の性別」が一致していない状態ってくらいの概要しか知らない。
なんと言うか、どうでも良…くはないが、良い気分はしなかった。
なんと言うか、「俺(兄)はこんなにツラいんだ!」だから「俺(兄)のしている事は許されて当然だ!」と言われている気がしたから。
まぁ、完全な僕の被害妄想だ。
兄は病院から診断されたわけではないそうだ。
要するに自己診断。
兄はかなりの虚言癖がある。
実際のところを知る術は無いけど、過去の経験から兄の発言の8割は嘘だと思っている。
だから、兄の「性同一性障害だ。」という告白も、僕は信用しなかった。
と言うか、兄から直接聞いたわけじゃないし、「あーはいはい。」くらいで終わらせた。
ところがだ、家に帰り「兄の告白」について僕は考えた。
思い当たる節がある。
兄には「なんでそんな事を過剰に気にするんだろう?」と感じる事が多々あった。
わかりやすい例をふたつ挙げてみよう。
脱衣所
僕が幼い頃に住んでいた家のトイレは脱衣所内にあった。
誰かがトイレから出る。
誰かが風呂場から出る。
すると、ハダカの家族に鉢合わせる事になる。
兄は自分のハダカを家族に見られるのを過剰に嫌がった。
まぁ、思春期の男の子にも無くはないのかもしれないけど。
しかし、兄は自分が風呂に入る際のトイレの使用を禁じた。
自分がハダカでいる間、他の家族に見られる可能性を潰したわけだ。
そして、我が家には「それ」がまかり通ってしまった。
それくらい兄はハダカを見られるのを嫌がった。
余談だが、僕が幼い頃、尿意が限界だった為に代理人(母)に風呂場の兄と交渉してもらった事がある。
5分か10分か。
交渉は難航した。
やっとの事、代理人(母)が許可を得て戻ると、クライアント(チッタ)はパンツを履き替えていた。
スケベ
僕が高校生の頃だと思う。
その日兄は、僕のスネ毛をガムテープで脱毛していた。
まぁ、あまり深く考えないで欲しい。
僕はかなりの激痛に怒り、兄に反撃をした。(こういう戯れ合い程度なら反撃出来た時期です。)
僕は兄に同じ苦痛を与えてやろうと、兄のジャージの裾を捲り上げた。
ニーさん「スケベ!!」
…。
えぇ…。(汗
「スケベ」て…。
何か別の意味で兄が怒るのならわかる。
しかし、男兄弟相手に「スケベ」は無いだろう。
その頃は「脱衣所の件」があったし、「本当に(カラダを)見られるのが嫌なんだなぁ…。」程度に考えていた。
が、今でも覚えているくらいに印象深い事件だった。
パズルのピースがハマる
このふたつの例を「兄」ではなく「姉」だったと仮定しよう。
僕にはとてもしっくりくる、「パズルのピースがハマる」様な感覚を得る答えだった。
思春期の女の子が父親や弟にハダカを見られるのを嫌がるのは不思議ではないだろう。
大学生の女の子が高校生の弟にいきなりジャージの裾を捲られたら驚くだろう。
「スケベ」なんて単語を発する事だってあるかもしれない。
兄の「性同一性障害だ。」という告白は、他にも細かい事でパズルにハマった。
「マジなのかもしれない。」
面白いじゃないか。
兄の性格が腐ってる様に、弟のチッタの性格も腐っていた。
「これは確かめる必要があるな…。」
僕は母にアポを取った。
そこ、繋げてちゃう?
僕は今でもなんだけど、いわゆる「厨二病」な気質がある。
酷い家庭で育ったわけだけど、同時に「みんなと違う俺、カッコいい。」みたいに捉えているトコロがある。
「性同一性障害の兄を持つ弟」
そんなシチュエーションってのは、どんな感じなんだろう?
僕はそう思い、「兄の告白」について探る事にした。
しかし、性同一性障害の人は、僕には想像出来ない苦しみを抱えていると思う。
面白い可笑しく立ち回るってのはいかがなモノだろう…。
「まぁ、相手がニーさんなら別にいいや。」
僕を苦しませた兄だ。
僕を楽しませてくれ。
前置きは済んだ。
言い訳も済んだ。
「母と兄のコジツケ」
タイトル回収に入ります!!
いつもの「冗談」ではないらしい。
母との約束の日。
母への尋問を開始した。
前回の母との会話では、「兄が告白した。」という事しか聞かなかった。
兄の真意を知る為、「どういった状況」で「どういった感じ」での告白だったのかを問いただした。
まずは「状況」から。
兄は1年中「暴君」なわけではないらしい。
「沈む時期」というモノもあるらしい。
「沈む時期」にも「攻撃的に沈む時期」「しおらしく沈む時期」があるそうな。
告白があった日は「しおらしく沈む時期」だったんだと。
「産まれない方が良かった。」とか、そんな事を母に言ったそうだ。
因みにだけど、兄はその頃には「精神障害者2級」で手帳を持っていた。
僕が知るだけでも「統合失調症」「強迫性障害」「睡眠障害」の診断をされていた。
精神的に安定している日の方が少ないんじゃないかな。
そして、「状況」に並行して「どんな感じだったか」についてを聞いた。
兄は泣きながら謝っていたらしい。
何に対しての謝罪かはわからないけれど、僕は驚いた。
僕に対してはモチロン、誰に対しても「兄が謝罪する姿」なんてのは見た事が無い。
兄は何かしらの言い訳で正当化して、謝罪なんて絶対にしない人だ。
そんな「兄の様子」を聞いた僕は、「兄の告白」は「兄の心の底を曝け出した告白」だったのではないかと感じた。
驚いたのは母も同じだった様だ。
母から見た兄も「暴君なイメージ」が強い。
息子(兄)からの急な謝罪。
母は言葉に困り、頭をフル回転させたそうだ。
カーさん「ニーちゃんは良い子だよ。」
母がなんとか兄にかける事が出来た言葉。
パニック寸前の中、やっと出てきた言葉だったそうだ。
チッタ「はぁ?ホントにそう思ったの?w」
カーさん「いやぁ?だって、そう言うしかないじゃんw」
兄も僕も性格が腐っているが、母の性格も腐っていた。
兄は「その流れ」から、「自分が性同一性障害だ」と告白したらしい。
その話を聞いた僕は、兄が「自分は性同一性障害だ。」と思っている事は信用した。
兄は「こういう事」を平気で「冗談だ。」として言う事がある。
少なくとも、この告白に「冗談だ」という意図は無いんだろう。
僕は「そっかー。マジなのかー。ちょっと本人に話聞いてみたいなぁ。」なんて考えてた。
すると母は、とんでもねえ事を言い出した。
予想外のファンタジー展開。
カーさん「チッタとニーちゃんの間にさ、ネーちゃんがいたじゃない?」
「ネーちゃん」というのは、生きて産まれてくる事が出来なかった「もうひとりの家族」の事だ。
性別の判別が出来ない時期の事のはずなのに、母にとってはなぜか「女の子」らしい。
「それ」は、兄も同じな様だ。
カーさん「ネーちゃんの魂が俺(兄)に宿ったんだ。って言うの…。」
カーさん「カーさんもそう思う…。」
ちょっと待ってくれ。
そこ、繋げちゃうの!?
いきなりファンタジーぶっ込まないでくれ!!
母と兄のコジツケ
都合の良いコジツケ
母の話を聞き、僕は気分を害した。
母はよく、神様だの仏様だのといった「非科学的なモノ」に話をすり替える癖がある。
僕が凄く嫌う部分だ。
兄も僕同様、母の「そういったトコロ」を良く思っていなかったハズだ。
兄も僕同様、「母のお手製の神棚」を嫌っていた。
その話も良かったらどうぞ↓
母だけに留まらず、兄までもがファンタジーを持ち出してきてしまった。
「俺(兄)のカラダの性別が男性なのに反して、心の性別が女性なのは、ネーちゃん(もうひとりの家族)の魂が宿ったからだ!」
「コレ」が兄と母の言い分らしい。
どこからツッコメば良いやら…。
まず、「魂が宿った」ってなんだよと。
アンタ(ら)が苦しんでるのは「もうひとりの家族」のせいなのかい?と。
仮に、「魂が宿る」なんて事が起きるなら、後に産まれた僕に宿るのではないだろうか?
そして、なんで「もうひとりの家族」が女の子である前提なんだ?と。
何度でも言うが、性別の判別が出来ない時期の事だ。
アンタ(ら)が苦しんでる原因を無理矢理コジツケて、「生きて産まれてくる事すら出来なかった家族」に押し付けたいだけだろ!と。
そして、興味を失った。
なんかもう、兄が「本当に性同一性障害なのか?」とか、「本当なら、どんな思いを抱いているのか?」とか、どうでもよくなった。
自分が好きなアニメや漫画、ゲームでも良い。
「リアル(現実的)」を題材にしている作品なのに、いきなり魔法を使い出したらナエない?
例えば「明日のジョー」が、いきなり魔法をガンガン使うファンタジーバトル漫画になるとか。
明日のジョーを読んだ事ないんだけどさ。
そんな感覚。
どうでもいいやってなっちゃった。
「母と兄のコジツケ」ホント嫌いなんだなぁ。
僕は長い間、「この件」について忘れていた。
どうでもよくなったってのもあるけど、そもそもが「兄から直接聞いた話」じゃないしね。
僕が引っ掻き回して良いモンでもないし、何も行動しない間に忘れていた。
今回、記憶を引っ張り出してみたわけだけど、「母と兄に対する嫌悪感」が強かった一件だった。
「兄が性同一性障害」かもしれないってのは「それはツラいのかもね。」って感想を持った。
だけど、それを「もうひとりの家族」にコジツケるのはどうなのよ?と。
関係ねえべよ。
何度でも言うけど、「女の子」だって確証も無いっつうのに。
多分、僕は「もうひとりの家族」を悪霊扱いされた様に感じて不快感を持ったのだと思う。
変な話、僕は「もうひとりの家族」に対して感謝しているトコロがある。
彼なのか彼女なのかはわからないけれど、「その人」は他の家族と違って僕に害を与えなかった唯一の家族だ。
それに、もし「その人」が生きて産まれていたら、僕が産まれてこなかった可能性が高い。
あの家で「3人目の子供」ってのは想像出来ないから。
「その人」が生きて産まれてくる事が出来なかったおかげで僕が産まれてくる事が出来たのだと。
まぁ、これも確証の無い僕の想像なんだけどね。
あの話は「ネーちゃんの魂が宿った。」「だから嬉しい。」「頑張ろう。」といった前向きな話ではなかった。
「現状がツラいのはネーちゃんの魂が宿ったのが原因。」
僕にはそう聞こえた。
無理矢理なコジツケで「ネーちゃん(仮)」を貶められた気がして不快に思ったのだと思う。
最後に、母から話を聞いた僕が言い放ったセリフで締めよう思います!
チッタ「へぇー。ニーさんは取り憑かれちゃったんだ。
じゃあ、お祓いにでも行く?
もうひとりの家族を祓いにさ!!」