遅めの青春

今から10年程前。

20代後半の頃に、とある娯楽施設でバイトしていた。

お金がなく、近場ですぐに始められるという理由だけで決めたバイト先。

1日3万歩近く歩く肉体労働。

給料が良かった訳ではないけれど、爽快感の様なものがあった。

好物件を引いたと感じた僕は人手がいなかった事もあり、当時無職だった友人二人を巻き込んだ。

そのバイト先は自分よりも年上の人もいたし、年下の学生バイトもいた。

人間関係オールグリーン!!とまではいかないまでも、職場としてかなり良い人間関係だったと思う。

お祭り感覚で仕事の競争してみたり、たまには皆んなで飲みに行ってみたり。

部活の延長の様な、今思えば遅めの青春みたいな感じで楽しかった。

月日が経ち、友人Aが辞め、僕も辞めた。

友人Bはそのまま働き続けたけれど、この秋で辞めるとのこと。

先日友人Aと会った時に、「ちょっと行ってみるか」と二人で遊びに行ってみた。

働いている友人Bと話し、当時一緒に働いていた人達も声をかけてくれた。

その日は天気が良くって、日向に出れば少し汗ばむけど、日陰に入ると風が気持ちいい。

秋の心地良さの中で友人Aと話していた。

思い出すのは、やはり当時の事。

僕は当時、本当にお金が無かった。

ベタだけど、当時のご飯は白米、もやし、納豆。

バイト帰りに友人Aとスーパーへ行き、キロ売りのもやしを買うと、友人Aが「キロで売ってるもんなんだね。でも、最悪炒めたすればオカズになるね!!」なんて言ってた。

お分かりだろうか?

こいつ…我が家のメインディッシュを最悪と称しやがった…。

無垢とは残酷である。

「まだ根に持ってたのかよ」と笑う友人Aに「お前の墓の前でもこの話はするからな!!」とに宣告。

でも、お金が無くっても居心地の良い職場だった。

友人Aは当時、心が疲れ気味だったらしい。

日光を浴びながら身体を動かすのが仕事だったこの場所は、良いリハビリだったと言っていた。

本当にありがたい職場だった。

僕らは、その娯楽施設自体には全く興味が無い。

「もう二度とここには来る事はないだろうね」と話しながら、初めて客としてその場にいた。

秋の穏やかな一日でしたとさ。

オチなくてごめんね!!

 

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