日本の法律上、血縁者との「縁切り」は出来ない。
家族から酷い仕打ちを受け、どれだけ苦しみ、どれだけ「彼ら(彼女ら)」との縁を断ち切りたいと思っても、戸籍上の縁を切る方法は存在しない。
つまり、家族から逃げるために「引越し」ても「電話番号を変え」ても、調べようと思えば調べられてしまう。
「自分はこの先もアイツらに苦しめられ続けるのか…。」
そんな人達のために、素敵な制度がある。
住民票の観覧制限。
僕はこの「住民票の観覧制限」をした。
そんなお話。
住民票の観覧制限
「住民票」には僕の現住所が記載されているわけだけど、観覧しようと思えば「母」だろうが「兄」だろうが、観覧することが出来てしまう。
しかし、「住民票の観覧制限」をするとどうなるのか。
僕の住民票を「僕以外の人間」が観覧(取得)することが出来なくなる。
つまり、母や兄は、役所を通じて僕の現住所を調べる事が出来なくなるのだ。
しかしこの住民票の観覧制限は、メリットだけではない。
- これから結婚した相手でも、観覧は出来ない。
- 僕が住民票を取得したい場合、役所に出向く必要がある。
- 転居した場合、転居先の自治体への申請が必要。
- 毎年更新が必要。
これらの注意点がある。
僕にとっては、毎年の更新がめんど臭いってことくらいかな。
あとは、本気でお金を積んで「興信所」に依頼されれば、居場所がバレるってこと。
しかし、これらを補う程の安心を僕に与えてくれている。
住民票の観覧制限をしに行った 役所編
僕はまず、役所へ行った。
総合窓口にて、「住民票の観覧制限をしたいです!!」と元気良く言うと、担当窓口へ案内してくれた。
担当者さんから、「制限をかける理由」を聞かれた。
- 兄の精神疾患
- 母からのお金の催促
この2点を重点的に話した。
他にも、「兄から受けた幼少期の話」を少しだけした。
今のままでは、僕は自分の人生を生きられない。
この事を伝え、僕にとって「住民票の観覧制限」は必要な事だとアピールした。
次に、警察署へ行って、調書を取ってきて欲しいと言われた。
「観覧制限」をするには、警察署が「観覧制限が必要だ」との判断が要るらしい。
元々「住民票観覧制限」は、配偶者からのDVや、虐待被害者のための救済処置。
担当者さん「お母さんのお金の催促と、お兄さんの状況の関連性。お兄さんから受けたモノを上手く伝えられると良いと思いますよ。」
警察署にすんなりと「GOサイン」をもらえるように、アドバイスを頂いた。
僕の熱意が伝わった様だ。
住民票の観覧制限 警察署編
総合窓口にて「住民票観覧制限」をしたい事を伝えた。
役所の担当者さんから連絡があったらしく、すんなりと担当窓口へ案内してもらえた。
僕を担当してくれた警察官の方は、「ムスッとしたおじさん」だった。
「コイツぁ、口説き落とすのに骨が折れそうだぜ…。」
僕は事前にネットで「住民票観覧制限」について調べていた。
それによると、警察署からの「必要認定」は厳し目になっている様なことが書かれてあった。
僕は当時、30代前半の男性。
DV被害者の「救済処置」の様な制度に、僕が認定されるか不安だった。
僕は「切り札」を出す事にした。
兄の状況や、母からのお金の催促。
これらを簡潔に話した後、僕は言った。
チッタ「調べて頂ければ分かると思うのですが、我が家は度々みなさん(警察)のおチカラをお借りしてますし、兄は逮捕歴もあります。」
僕の実家に、盾を持った警察官のみなさんが押し寄せた事件の話を持ち出したのだ。
その時のお話はコチラ↓
しかし結果を見ると、この「切り札」は必要無かった様に思う。
警察官「それは大変でしたね…。」
と、担当の警察官の方は親身に話しを聞いてくれた。
拍子抜けするくらい、すんなりと「GOサイン」をもらうことが出来た。
受けたモノが「他人には小さいモノ」だと感じても、自分が「それ」を考え、自分にとって「大きな被害」である事を伝えれば、相手も感じ取ってくれる。
そんな風に感じた。
自由
警察署での調書が済み、再び役所へ出向いた。
提出書類を渡され、最後の説明を受ける。
「住民票観覧制限」をする事によっての注意点の説明を受けた。
担当者さん「注意点なのですが、この先、ご結婚された場合、配偶者となる相手でm、あ、書いちゃった…。」
僕には「住民票観覧制限」の注意点やデメリットはどうでも良かった。
1秒でも早く「観覧制限」をしたかった。
説明を被せ気味に書類を書き上げる僕に、担当者さんは「意志が硬いですね…。」と苦笑いしていた。
自由だあああぁぁぁーーーー!!!!
役所を出た僕の気持ちは、この1点だけだった。
叫び上げたいくらいだった。
「住民票観覧制限」をする前にも、家族に居場所を教えずに引越しをしたりした。
それだけでも「自由」を手にした感覚はあった。
だけど、最後の最後には調べようと思えば調べられてしまう不安があった。
出来る限りの「縁切り」をした。
これは、物理的なモノより、心理的な自由を得られた気がした。
僕は自由だ。
僕の人生は、やっと始まったんだ。
そう思った。