僕が20代前半かそこら。
兄とふたりで「スノーボード旅行」へ行った事がある。
まぁ、そんな時期もあったんですわ。
一泊2日の短い旅行。
今思い返すと、色々と思うところも出てきた。
そんな話。
スノボー行こうか
当時、僕は「スノボー」が好きだった。
貧乏生活の中でなんとかやりくりして、年に1回のスノボー資金を貯める日々だった。
その頃になると、母からの「お金の催促」も全て断っていた。
お金のしがらみが無くなったおかげか、兄とは「マシ」な関係だったと思う。
僕がまだ「自分自身と向き合う」前の頃の話で、「何にイラつく」のか分からないし、変なカッコ付けをしてた時期だった。
「スノーボードが趣味の自分」にも、少なからずカッコ付けな意味合いがあったと思う。
当時の兄は働いていなかった。
自助会なのか、「精神疾患を抱える人達」の会合に参加していた様だけど、僕から見ると「男女の出会い」を求めていただけに見えた。
そんな兄を僕は心底軽蔑していた。
まぁ、僕のひがみですわw
働かんで遊んでる様に見える兄をひがんでいただけだと思う。
僕は、そんな兄に「マウント」が取りたくて、「リア充」でもない癖に「リア充アピール」していた。
「俺はこんな楽しい事してんだぜー。」って。
「スノボー」もそうだった。
兄もスノボーには興味があったけど、実際にやった事はなかった。
初めてのスノボーにひとりで行くのは、かなり勇気がいるだろう。
僕にも無理だ。
兄も初滑りをひとりで行くのは怖いし、かと言って一緒に行ける友人もいない。
その頃の兄は、なんと言うか、僕を「持ち上げ」ていた。
僕の「偽リア充」に騙されていたのか、自分のチカラで生活する僕を純粋に凄いと思ったのか。
とにかく僕を「持ち上げ」た。
ニーさん「チッタ凄えな。スノボーなんて。俺も興味あるけどひとりじゃなぁ。」
兄に「マウント」を取れた僕は、気を良くして言った。
チッタ「んじゃあ、一緒に行く?」
こうして僕達兄弟のスノーボード旅行が決まった。
めんどくさっ!!
僕はスノボー経験者としての「マウント」を取るため、宿泊先やら移動やらの手配をした。
夜行バスの乗り方やら、宿泊先のチェックインやら、ある種の「センパイ風」を吹かせた僕は輝いていた。
兄の旅費のデドコロは謎だったが、母は「兄弟の旅行」に喜んでいたのでヨシとしよう。
兄の「ボード」や「ウェアー」をレンタルし、準備を始めた。
これから兄に、リフトの乗り方から滑り方などのレクチャーでマウントが取れる。
僕自身も早く滑りかったし、気持ちは高鳴る。
しかし、兄はなかなか準備が出来ない。
20分経っても30分経っても準備が出来ない。
「何シテンダ!?」と様子をうかがうと、兄は鏡の前でずぅーーーーっと髪型と帽子のチェックをしていた。
チッタ「何してんの?なんか問題?」
ニーさん「俺の髪型変じゃない?大丈夫?」
ンなもん見ねーよ!!
兄は人目を「物凄く」気にする。
ゾクっぽい言い方をすれば、かなりの「ナルシスト」だ。
帽子の位置ひとつにしても、気になって仕方がないらしい。
チッタ「どうせ転ぶし、気にしたって無駄だから。」
そんな調子で1時間近く待たされた。
やっと準備が出来たかと思えば、また良く分からん事を言う。
ニーさん「チッタ。俺を撮れ。」
彼女やらに見せる写真を撮らされ、さらに20分近く無駄にする。
ニーさん「うーん…もう一枚!ちょっちょっwチッタ!マジで!!マジで!!」
コイツは何をしに雪山に来たんだ?
なんとかゲレンデに連れ出し、ようやく滑り始める事が出来た。
当然ながら転ぶ。
初めから転ばないで滑れる人はいない。
スノーボードは転びながら上達するモノだ。
しかし兄は、転ぶ度に「入念な髪型チェック」をする。
コイツは何をしに雪山に来たんだ?
滑る時間より、髪型をいじる時間の方が長いんじゃないのか?
あーもう、めんどくせっ!!
思い返してみて
なんと言うか、チッタもめんどくせえやつだなw
自分で誘ったんだからゴチャゴチャ言うなよw
兄の「人目を気にする」性質は、昔っからの事。
当時の僕にもわかっている事だった。
「自撮り」大好きな部分も昔から。
過去に、共通の友人の母の葬儀に出た事がある。
兄は「葬儀の場」で、友人のデジカメのメモリーを「自撮り」で使い切った男だ。
兄のこの性質は、とても「生きにくい」性質だと思う。
「奇跡の一枚」を撮る為に入念な準備をして、撮影に膨大な時間を費やして。
写真だけならまだしも、日常全般にも「奇跡の一枚」を求めていた様に見える。
どんな美人にだって、気の抜けた「一枚」はある。
それを愛嬌だと思えれば気が楽になると思うけど、それも許せていない様に見えた。
今の僕には、そんな「兄の性質」を「大変だなぁ。」と感じる。
友人は「デジカメ事件」を、本当に不快だったと言う。
僕も、この性質に振り回されて不快だった。
この性質も「兄の愛嬌」と受け取れる人がいれば、彼にとって幸運だと思う。
だけど、兄の「他の性質」のせいで、交友関係は長続きしない。
ブログのネタを考えてる時に、この話を思い出した。
素直に「かわいそうだな。」と思った。
今の兄がツラいのか楽しいのか。
生きているのか亡くなっているのかもわからない。
「兄のこと」自体はどっちでも構わないと思うのだけど、「過去の兄」に対して「かわいそう」と思えるのは、自分が良い傾向にあると思って書いてみた。
あー、スノボー行きたいなぁ。
怪我が怖いから行かないけどね!!
スノボー旅行そんなだったんだねw
葬儀の写真は俺は別に大丈夫だったけど、周りは引いてたね。
葬儀の時、引きはしなかったけど、ただただ「気持ち悪いなぁ。」とは思ってたねぇ。