20代前半の頃、僕には付き合っていた彼女がいた。
とても素敵な女性だった。
一言で言うなら、「シンプルな強さ」を持った人だった。
なんと言うか、自分の好きなものに対して、自分中心でいられる人だ。
自分の好きなものが、流行だったり周りの視線に左右されない強さみたいなものを持った人だった。
それは、性癖にも同じ事が言えた。
彼女の性癖は特殊だった。
特殊と言うか、探究心が強かった。
僕は、そんな彼女の探究心に度々付き合う事になった。
そんな話のひとつです。
梅雨の前だっただろうか。
春とは違い、半袖でも汗ばむ様な日の事だ。
僕は彼女に呼び出され、街中へ出ていた。
彼女は僕に会うなり、何かを手渡してきた。
四角い…何だ?これは。
ON?OFF?強?弱?
彼女「有効範囲は2メートルだから!!」
???…!?
何のことなのかはわからないが、僕のタイミングでスイッチを入れろと言う事なのだろう。
部屋の中でなら何を要求されても構わないのだけど、外はなぁ…。
正直、あまり気が進まない。
しかし、僕の培った奴隷根性は「NO!」とは言わない。
まぁ、なんとなくで良いでしょ…。
街中をブラつき、共通の話題である「オカルト系」の話に花を咲かせた。
穏やかな日だ。
彼女の性癖以外のところでは、僕は尊敬に近いものを感じていた。
そんな彼女は、僕のことを好きだと言ってくれた。
彼女との時間は、母からの厄介事を忘れさせてくれる。
そして、彼女から渡された「リモコン」の存在も忘れていた。
彼女「テメェー良い加減にしろよ!!」
突如彼女はトイレから戻るなりキレた。
なんと言うか、僕は彼女にしょっちゅう叱られていた。
兄のお叱りとは違い、彼女のお叱りは真っ当なものだ。
僕には常識と言うものが無く、彼女には良い意味で訂正されていた。
「また何かやっちゃったかな?」
心当たりは無かったが、心当たりがあり過ぎた。
僕の行動は、大体が常識から外れていた。
「うーん…。どれだろう?」
ワケを理解し、改めれば許してくれる。
しかし、何故お怒りなのかが分からない場合…。
彼女は元ヤンである。
怒ると手がつけられない。
大衆の面前だろうが、平気でブチギレる。
そして怖い。
あぁ、般若が近づいて来る…。
オコな彼女は僕に怒号を浴びせる。
こんな時は黙って聞いてるのが吉だ。
チッタ「はい。ハイ。おっしゃるトオリデス…。」
彼女「いつまで待たせんだ!!どうせお前!!また忘れてんだろ!!!」
そう。
忘れていた。
恐らく彼女は、トイレで「リモコンローター」の動作チェックをして来たのだろう。
後で聞いた話だが、「子機」には問題無かった。
リモコン側の動作チェックも事前に済ませてあったらしい。
問題があるとすれば「チッタ」だった。
僕は全てを思い出した。
射程は2メートル。
彼女は僕の胸ぐらを掴んでいる。
とっくに射程内だ!!
チッタ「今!!」
僕はポケットの中でリモコンをONにし、ダイヤルをMAXにした。
般若は動きを止めた。
あぁこれ、本当に動き止まるんだ…。
しかし、彼女は快楽で動きを止めた訳じゃなかった。
僕が「スタンド能力」に覚醒した訳でもなかった。
彼女の動きを止めたのは。
怒り。
そして、時は動き出す!!
彼女「今じゃねーだろぉ!!!」
チッタ「ひぃっ…」
顔面にビンタという名の掌底打ちを受け、眼鏡が遥か彼方へ吹っ飛んで行った。
久しぶりに彼女の事を思い出したので書きたくなったエピソード。
永く付き合う事は出来なかったけど、彼女にはとても感謝している。
何年も前に結婚して、子供も産まれたらしい。
彼女の家族が幸せに暮らしていてくれると嬉しい。
陰ながら、心の底から幸せを願う。
何ですかその最高な彼女羨ましい
貴方なら理解出来ると思っていました。
生々しくてキモいが笑った。昔に聞いてたと思うが、やっぱ友人の元カノの話とか忘れてるもんだね。
初めて聞く話のように楽しめましたw
多分話してないかも。
元カノの話は割と最近「解禁」したから。
まぁほら、このレベルだとまだまだジャブだしね。