僕は20代半ば頃、「治験ボランティア」に参加していた時期がある。
前回は「治験ボランティアの概要」と、「初めての治験参加」の話をしました。
今回は、もう少し細かく治験ボランティアの入院生活なんかを書こうと思います。
書ける範囲で。
※注意
「おしっこ」とか「うんこ」の話もします。
目次
入院中のルール
治験に参加するにあたって、守らなければいけない「ルール」がある。
- 守秘義務
- 他の参加者への配慮
- 正確なデータ収集のためのルール
大体、こんな感じ。
- 守秘義務
「飲んだ薬」の情報を流してはいけない。
「なんの薬の治験に参加したのか」
「どんな効果のある薬なのか」
「どんな副作用のある薬なのか」
これらは誰かに話してはいけない事になっている。
正直、「どこまで話してはいけないのか?」はあんまり覚えていない。
だから、少しでも「これは言っちゃダメかな?」と思うモノについては書きません。
その辺はご了承頂けるとありがたいです。
- 他の参加者への配慮
治験参加中は、10人規模の参加者達との共同生活になる。
みんなが快適に過ごせるように、「他の参加者への配慮をしましょう。」ってルール。
大体は「一般常識」に任せて、明確なルールはあんまり無い。
「これはやめて下さいね。」と言われたのは、「写真撮影」とか。
SNSとかYouTubeとかに投稿したい人もいるんだろうけど、「嫌がる参加者がいるだろうな」ってルール。
他にも、「スマホ」や「ノートパソコン」なんかで、「音楽や動画視聴する場合はイヤホンしてね。」とか。
- 正確なデータ収集のためのルール
投薬後から「解除号令」が出るまで、多分どの治験も「おしっこ」を全提出する。
治験では、それくらい「詳細なデータ収集」をするんだ。
「採血」や「採尿」で「出した」データ。
「飲食物」で「入れた」データ。
これらを細かく集めたいんだ。
だから、「こっそりとお菓子を持ち込んで食べる」なんてのはご法度。
そういう事の無いように、入院前に「持ち物検査」をするんだけど、隠れて持ち込もうと思えば可能な程度の「持ち物検査」しかしない。
「ルールは守ってね。」っていう、ボランティアの「良心」に委ねている感じ。
過去に、「こっそりとタバコを持ち込んだ参加者」なんて話を聞いたけど、「治験そのもの」もオジャンになったり、火災報知器が鳴ったりと大変だったそうな。
モチロン、その人は永久追放になったんだと。
せっかく、ボランティア側に「委ねて」くれているのだから、「ルールを守って」応じたいよね。
他には「筋トレはしないでね。」とか。
筋トレすると、血中成分に「ナントカ」って数値が出るらしい。
「治験のデータ収集」の邪魔になる事はしないでねってルール。
とまぁ、最低限のルールはあった。
明確に「これはやめてね。」ってルールも多少あったけど、結構自由だった。
病院側も、「参加者が快適に過ごせるように」って配慮をしてくれていた。
病院側も、出来るだけ「ルール」の縛りを少なくしたいみたいで、相談すれば、出来るだけ「OK」を出す様に努めている様子だった。
過去に「ギターを持ち込んで練習したい。」という参加者に「OK」を出したそうだ。
結局は、「他の参加者への迷惑」になり、それ以後は禁止になったけどw
初めての「スタメン」
僕の初めての治験は「待機メンバー」で終わった。
そのすぐ後の治験に応募したわけだけど、そちらの治験では、あっさりと「スタメン」に選ばれた。
初回の経験で、「こうすれば数値が良くなる」とかも分かったしね。
2度目という事で、緊張も無く、「血圧」なんかの数値も良かったんじゃないかな。
そんなこんなで、僕の「入院生活」は始まった。
ベッドを割り当てられ、お隣さんにご挨拶。
チッタ「ども、イビキうるさかったらごめんなさいねw」
お隣さん「ハハッ…。」
出だしは好調だな!
基本的に、参加者同士の会話は皆無。
友達同士で参加する人達は別だけど、トラブルを避けようと「当たり障りの無い」様にする参加者がほとんどだった。
僕としても、それならそれでありがたい。
ひっそりと息を潜めて生活しようじゃないか。
美味しい「食事」 足りない「量」
治験中に出される食事は、治験をする病院によって差があるそうだ。
僕の参加していた病院は、「治験界隈」でも評判が高い病院だった。
特に食事。
食事は「ケータリング」のお弁当がほとんどなんだけど、これは凄い事らしい。
僕は他の病院を知らないんだけど、「何ヵ所かの病院」で治験に参加した友人曰く「他の病院は(いわゆる)病院食だった。」そうな。
治験の口コミを見ても、「治験で肉食って良いの?w」とか「治験であんな(良い)モン食えるとかビビるw」なんてのを見た事がある。
「ケータリング」ではあったけど、実際、美味しかった。
お店の名前が載ってたモンで、ネットで調べると、2000円近くしてた気がする。
当時の僕からすれば、貴族の食事だった。
とにかく「良いモン」食わせてもらっていたのを覚えている。
ただひとつ、「量」には不満があった。
僕は結構「食う」方だから。
出される食事の量は、一般人からすれば普通の量。
当時のコンビニ弁当よりも多いくらいだった。
人によっては少し多いかな?
だけど、仮に多く感じたとしても、食事を「残す」事は許されない。
「正確なデータ収集」のために、参加者全員が「全く同じ食事」を摂取する必要があるんだ。
これも「参加条件」になるんだけど、「食物アレルギー」や「偏食」な人は参加出来ない。
残さず食べれるなら問題無いんだろうけど。
しかし、僕には関係ない事だった。
他の参加者のご飯も食べたいくらいだ。
僕には量が足りない。
ご飯の「最後の一粒」はモチロン、ミニトマトの「へた」も食べた。
それくらいに飢えていた。
「食事」では満足出来ない僕は、「麦茶」を飲みまくった。
病院側は「水(白湯も)」と「麦茶(ホットも)」を用意してくれている。
「麦茶」なのは、「カフェイン」が含まれていないから。
健康診断前にも「カフェインを含んだ、コーヒーやお茶は飲まないで下さいね。」と言われるんだけど、「カフェイン」は治験には邪魔らしい。
入院中は、病院側が用意してくれた「コップ」で、「1日〇〇杯は飲んで下さいねー。」と、ノルマを言われる。
自分が飲んだ「コップ〇〇杯」を、ホワイトボードに「正の字」で記入するんだけど、僕は常にトップ成績だった。
別に、そんな成績が良いからって褒められる事も無いんだけどねw
僕は入院中、麦茶で「飢え」をしのいでいた。
同時に「おしっこ」も、かなりの量を提出した。
採尿。採便。 同時に「出せる」ありがたみ
治験で薬を飲んだ「投薬後」は、出した「おしっこ」を全て提出しなければいけない。
多分、どの「薬」の治験でも、「採尿」の無い治験は無いんじゃないかな?
しかしこの「採尿」、少しメンドくさい。
- トイレに置かれている「ボトル」や「紙コップ」におしっこする(全部)。
- トイレ内に設置してある「ナースコール」で、看護師さんを呼ぶ。
- 看護師さんに「出した量(重さ)」を計測してもらう。
- ノートに「時間」と「量(重さ)」を記入する。
- お好みで「ドヤ顔」をキメる。
「1回の手間」自体は、そこまで面倒ではないんだけどね。
でも、「解除号令」が出るまでの数日間、「おしっこ」する度に「この手間」がかかるのは面倒だった。
しかも、早朝だろうが夜中だろうが、おしっこをする度に看護師さんを呼ばなければいけない。
「採尿」は鮮度が大事らしく、出し終わり次第、すぐに保管しなければいけないらしい。
「出したおしっこ」を常温で放置してしまうと、成分がオカシクなってしまうんだと。
だから「おしっこ」したら、看護師さんに「すぐに」保管してもらう必要があるんですね。
そして、「採尿」よりもメンドくさいのが「採便」。
文字通り、「うんこ」を全提出しなきゃいけない治験もある。
「採便」がある治験は、かなり珍しい。
僕も1回だけ「採便あり」の治験に参加したけど、正直、2度とやりたくない。
基本的には「採尿」と同じなんだけど、「おしっこ」と「うんこ」を別々に採取しなくちゃいけない。
- 「採尿」と同じ流れで「おしっこ」を採取する。
- ビニール袋を被せた「簡易トイレ」に「うんこ」をする。
- 出した「うんこ」に「採便キット」に入ってる棒を刺して採取する。
- 残った「うんこ」も、「被せたビニール袋」ごと採取する。
- 採取した「おしっこ」「うんこ」「採便キット」を持って、看護師さんを呼ぶ。
- 「採尿」と同じく、必要事項をノートに書く。
- 「採便キット」に時間を書く。
- お好みで「ドヤ顔」をキメる。
と、「うんこ」をするだけで、これだけの工程をこなさなければならない。
毎度毎度、この工程をこなすのは、かなりメンドくさい。
そして、「おしっことうんこを別々に出す。」というのは、地味ではあるが、結構しんどいモノがあった。
「うんこ」する時って、「おしっこ」も一緒に出ると思うんだ。
それまでは、意識せずにやっていた行為だけど、「この行為」に制限をかけられるというのはストレスの溜まるモノだった。
「採便」のあった治験は、僕が「23泊」した治験なんだけど、「20日間近く」はこの生活だった。
「採尿」「採便」の「解除号令」が出た1発目、僕はトイレでチカラ一杯「おしっこ」と「うんこ」を同時に出してやった。
「ヘヘッ…。おしっことうんこ、同時にしてやったぜ…。」と、背徳感の様な快感を得たモノだ。
因みに、「簡易トイレ」ってのは、いわゆる「おまる」みたいなモンだ。
辛うじて「アヒルさん」ではなかったものの、20代半ばで「おまる」でうんこするとは思わなかったw
分刻みのスケジュール
投薬の後は忙しい!
薬を飲む「投薬日」ってのは、入院した日の翌日か翌々日辺りにある。
「投薬日前」または「退院前」とかだと、一通りの検査を「1回」やるかやらないか。
それが、「投薬日」と「その後の数日」は、検査を何度もする事になる。
投薬日のスケジュールは、こんな感じになる。
- 7:00 起床
- 7:30 体重 体温 血圧 検査
- 8:00問診
- 8:30投薬の説明
- 9:15 投薬
- 9:45採尿
- 10:15採血 心電図 血圧
- 11:15 採血 心電図 血圧
- 12:15採血 心電図 血圧
- 13:00採尿
- 13:15昼食
- 15:15採血 心電図 血圧
- 17:15採血 心電図 血圧
- 19:00採尿
- 19:15夕食
- 22:15採血 心電図 血圧
- 23:00翌日のミーティング 消灯
こう見てみると、案外、余裕がありそうなモンだけど、看護師さん達はメチャクチャ大変。
「採血」「心電図」「血圧」の検査をこなすには、少なくとも30分はかかる。
検査が済んでも、「後片付け」「次の検査の準備」でバタバタしてる。
僕達ボランティアとしても、「検査15分前にはベッドで待機」という縛りがある為、自由にウロウロしてるわけにはいかない。
「トイレに行く」くらいなら大丈夫だけどね。
この検査の開始時間ってのは、「厳密」に決められている。
「少しの遅れ」も許されない。
看護師さん達は、ストップウォッチを持ち歩き、「開始時刻と同時」に検査を始める徹底ぶり。
検査の開始時刻と同時に「採血」を始めたりするんだけど、「上手く血液が出てくれない」なんてトラブルも発生したりする。
そんな時は、まぁーーードタバタ騒ぎになったりするw
僕達ボランティアは、ベッドの上で「されるがまま」に検査を受けていればいい。
だけど「検査前の15分」は、「ベッドで待機」と同時に、「スマホいじり」や「漫画を読む」ってのは禁止になる。
なんか、心電図の検査に影響が出るらしい。
「投薬後の数日間」は、「忙しい」けど「ヒマ」な時間を過ごす事になる。
いざ、投薬!
投薬日の朝、「体温、体重、血圧」の簡単な検査を済ませて、僕達ボランティアはデイルームに集められる。
これから行う「投薬」についての説明を受けるんだけど、「投薬」は「イッセーノーセッ!」で全員同時に薬を飲むわけじゃない。
ひとりずつ5分刻みに順番で「投薬」を行う。
入院初日に「スケジュール表」を渡されるんだけど、このスケジュールは参加者によって「5分刻み」にズレている。
そんなこんなで「スタメン1番」の人から順に「投薬」が始まる。
他の参加者は、「自分の投薬時刻」までデイルームで待機。
「自分の投薬時刻」の5分前になった僕は、先生の所へ行き、軽い問診を受ける。
「投薬時刻の15秒前になったら、薬と水を持って下さい。」
「合図したら薬を飲んで下さい。」
「水も全部飲んで下さい。」
こんな説明を受けて、問題無く「投薬」が済んだ。
「じゃあ、検査があるんで、ベッドで待機して下さい。」
と、なった。
「投薬」を終えた参加者達は、自分のベッドに戻って行く。
ベッドルームでは、検査の準備をする看護師さん達でガヤガヤしている。
最後のひとりの「投薬」が終わった頃、「スタメン1番」の検査が始まった。
この辺りで「待機メンバー」に選ばれた参加者達は、帰宅前の説明なんかを受けているのだろう。
僕は、これから始まる検査を待っていた。
因みになんだけど、投薬を受ける人全員が「薬」を飲むわけじゃない。
「プラセボ(偽薬)」という、薬でもなんでもない「薬と同じ見た目のナニカ」を「投薬」される人も数名いる。
「プラシーボ効果」ってヤツのデータも一緒に取るわけだ。
誰が「プラセボ」なのかは、僕達ボランティアはモチロン、先生にも看護師さんにもわからない様になっている。
採血 そしてトラブル
「投薬後の数日間」は、1日に何度も「採血」をする事になる。
毎日毎日、5回も6回も採血をしていたら、腕は穴だらけになってしまう。
僕が参加していた病院では、ボランティアのカラダの負担に考慮して、「留置針」というモノを採用してくれていた。
「採血」をする時は、「留置針に繋がる管」から「採血」出来る為、腕に針を刺す回数が激減する。
入院中のほとんどに「留置針」を腕に挿れておく必要がある為、人によっては嫌な人もいるかもしれない。
僕も「留置針の挿れ始め」は、違和感というか、異物感が凄かった。
まぁ、1日で慣れたけど。
「血圧測定」からの「採血」ってのが1連の流れ。
モルモットと化した僕は、ベッドの上で「されるがまま」に検査されていく。
大人しくしていれば、問題無くスケジュールをこなせる。
しかし、マレにトラブルも発生する。
「採血」の時刻になり、看護師さん達はいつも通りに「採血」に取り掛かる。
「留置針」に採血用の器具を取り付ける。
しかし、ナニヤラ様子がオカシイ。
看護師さん達が慌てている様子だ。
血が出ない。
血流だか血管だかのトラブルらしいけど、マレによくあるトラブルらしい。
しかし、スケジュール通りにこなさないといけない看護師さん達には大変なトラブルだ。
なんとか血液を出そうと、看護師さんは僕の腕にしがみ付いて圧迫する。
ちょwおっぱい当たってるw
そんな事はお構い無し。
看護師さん達は必死なんだ。
そこまでやっても、僕の腕は血液を出そうとしない。
こうなりゃ、最後の手段だ。
看護師さん「すみません!針を刺します!!大丈夫ですか!?」
チッタ「やって下さい…!!」
こんな、ドラマのワンシーンみたいな出来事もあった。
心電図 寝ちゃダメだ!!
「心電図」の検査も、「採血」と同じく、結構な回数を行う。
参加者達のベッドには、それぞれ1台ずつ機械が設置されている。
参加者は、移動する事なくベッド上で大体の検査が出来る様になっている。
僕はこの「心電図」が地味にしんどい。
「心電図」を行う下準備として、僕達は「目を閉じる」「深呼吸をする」事を要求される。
すると、どうなるか。
メッチャ眠くなる。
しかし、寝る事は許されない。
「目を閉じて深呼吸して下さいねー。あ、寝ないで下さいね!」
ムチャ言うなw
「眠いのに寝てはいけない。」
「だけど、心を落ち着かせなくてはいけない。」
この、反する状態をこなすのは、なかなか難しいモノがあった。
普段はベッドに設置してある機械で検査するんだけど、僕は1回だけ「ポータブル心電図」なる機械での治験に参加した。
文字通りの「携帯用の心電図」で、手に持てるくらいの小型の機械。
携帯用ラジオくらい?
24時間の「心電図データ」が必要な治験らしく、常にパジャマのポッケに入れておく。
そして、24時間ずっと胸に「マーカー」を貼り付けておく。(心電図の胸に貼るやつね)
これが痒ぃーのよw
掻くわけにもいかないし、ホント嫌だったw
剥がせた時は、解放感がハンパなかった。
入院中の生活 持て余す時間
治験内容にもよるけど、大体、投薬から3日後くらいになると暇になってくる。
投薬日にはミッチリなスケジュールだったのが、「朝の測定」「一回の採血」程度になってくる。
そんな暇な時間の「暇つぶし」方法。
漫画
病院側が用意してくれている娯楽のひとつ。
そこそこな量を揃えてくれていた。
↑みたいな本棚が6つ7つくらい?
「漫画喫茶」とまではいかないけど、普通の喫茶店とか、スーパー銭湯なんかで置いてある量と同等か、それ以上か。
一回の治験くらいなら、余裕で暇を潰せる娯楽量だった。
ゲーム
暇つぶし用に、ゲームも用意してくれていた。
やってる人はほとんどいなかったけどねw
当時の最新ハードは「PS3」だったと思うんだけど、「PS3」も用意してくれていた。
まぁ、まだ出始めで、ソフトの販売自体少なかったんだけどね。
「PS2」のソフトが多かった。
「X BOX」もあったかな。
「糞ゲー」と名高いソフトがチラホラあった事に少し笑ったw
他にも「将棋」や「オセロ」
「人生ゲーム」や「モノポリー」といったボードゲームも用意してくれていた。
正直、「誰がやるんだよw」って思っちゃったけどね。
テレビ DVD
テレビは「視聴専用」と「ゲーム優先」の2台がデイルームに置かれていた。
僕はテレビの前に陣取り、テレビCMを観るのが好きだった。
「地デジ化」してから、我が家にはテレビが無いんだけど、こういう機会にテレビを観ると、「番組」よりも「CM」のが面白いんだよねw
DVDも、そこそこな本数があったかな。
「有名どころ」だったり、「あ、これまだ観てない!」ってのもあった。
デスクトップPC
デイルームには、なぜかデスクトップPCが2台置かれていた。
使っていいモノなんだけど、スマホのある時代では、使う人はいなかった。
シャワー
シャワーは好きに入れるわけじゃなかった。
「投薬日」は入れないし、他にもスケジュール的に入れない日もある。
入れても、1日1回。
「シャワースケジュール」が貼り出され、空いている時間に予約を入れる。
ひとり20分とかだったと思う。
ホント、洗うだけ。
洗面所は「スケジュール」に問題が無ければ、自由に使えた。
だけど、4つとかしか無かったから、朝とか消灯前は混雑していた。
洗濯
入院中は、病院側が用意した「パジャマ」を着る事になる。
入院時に2セット渡されるんだけど、長期入院の場合は、自分で洗濯する事になる。
「大小のタオル」や「下着」なんかは、自分で持って行くんだけど、これらも自分で洗濯する事になる。
洗剤は病院側が用意してくれていた。
「洗濯機」と「乾燥機」は、それぞれ5台ずつくらいあったかな?
「洗濯待ち」をくらった記憶は無い感じ。
みんなの暇つぶし
僕は自分で何冊かの本を持ち込んだ。
読まなかったけどねw
なんか、活字を読む気にはならなかった。
漫画を読むか、テレビCMをチラ見しながらスマホ版「ファイナルファンタジー」とか「ドラゴンクエスト」とかやってた。
他の参加者を見てみると、漫画読んでる人が多かったかな。
他には自前のノートPCで、なんか観てる人もいた。
ごく稀に、ノートPCで仕事してるっぽい人とか、学校の課題っぽいのやってる人もいた。
こういう人にとっては、治験はかなり有益な時間と言えると思う。
退院 冬の空気を肌に感じて
「退院日」が間近に迫ってくると、「家に帰りたい欲」もMAXだ。
なにより、お腹空いた!!
自由にお風呂入りたい!
自由にうんこしたい!
やよい軒で、ご飯お代わりしたい!!
「3泊」やら「7泊」やらは、そこまでではなかった。
さすがに「23泊」の治験に参加した時の「帰りたい欲」はハンパないモノだった。
1日の終わりに、「スケジュール表」に✖︎印を付ける日々。
「あと〇〇日経てば…。」
やっと迎えた「退院日」。
最後の採血やら心電図を終えれば、全てのスケジュールが終了となる。
僕を含めた参加者達は帰り支度をし、着て来た服に着替える。
「やっと終わった…。」
デイルームにて、最後の説明。
「ご協力、ありがとうございました!」
「お疲れ様でした!」
謝礼金を受け取り、参加者達は久方ぶりの下界へと踏み出す。
駅へ向かう人。
食事処へ向かう人。
中にはコンビニへ直行し、美味しそうにタバコを吸う人もいた。
毎回、退院後の下界は清々しい世界だった。
「23泊」した時は、入院時は「秋」だったのが、すっかりと「冬」の空気が流れていた。
僕の着ていた服も、他の人とは「ひと季節」ズレていた。
僕は駅へ直行した。
自宅へ帰る頃には、「入院生活が嘘だったんじゃないか?」と、現実感に包まれた。
それくらい「治験での入院生活」は非現実的なモノだった。
治験ボランティアに参加してみて
決して楽してお金が稼げるモノではない。
治験ボランティアに何度も参加した僕が言うのもナンだけどねw
まぁ、これは「その人の性分」によると思う。
「大人数でも気にならない」
「プライバシーとか気にしない」
そんな人なら合っているかな?
確かに「23泊」した時は、40万円近くを頂いた。
正直、「割りに合うか?」と聞かれれば、僕は「NO。」と答える。
「仕事」ではないけれど、「勤務時間」で言えば「24時間勤務×23日」だしね。
だけど、当時の僕にはひと月に「その金額」を稼ぐ術が無かった。(と思い込んでいた。)
だから退院しても、「休薬期間」の4ヶ月を迎えると、「次の治験」を探し始めていた。
僕が思うのは、「治験ボランティア」は「生活の軸」にするモンじゃないw
当時の僕は、バイト収入では足りない生活費を、「謝礼金」を崩しながら生活していた。
「休薬期間」が終わる頃には「謝礼金」も無くなっている。
「この治験に受からなければ、家賃払えない…。」
こんな生活は、健全じゃないわなw
もっと、「この時期は暇になるから、応募してみるかな?」「受からなかったら、旅行でも行けばいいや。」くらいの感覚なら良いんじゃないかな。
あとは、本来、ボランティアが持つべき「この薬を必要とする人の為に!!」って思いの強い人。
そういう人がやれば良い。
僕は、もういいやw
治験も大変なんですねぇ
でも話のネタ的には鉄板になりますね!
治験の話を出して、興味を示さなかった人はいませんでしたねw
新しい職場に入って、「どんな仕事してたの?」からの「〇〇と〇〇やってて、あと、治験もやってましたね。」の流れは鉄板。