僕が育った家庭は、割と壊れていた。
酒に溺れ、仕事もせず。
飲んでは騒ぎで毎晩フェスを開催する父。
「支配」でしか家族と対話の出来ない、悲しきモンスター兄。
被害者の様に見えて、実は問題をややこしくする無垢な悪。チッタ。
母はギリギリ(アウト)な家庭を、なんとか崖から落とさない様に頑張っていた。
しかし、母の頑張りは悪くなる一方の現状維持。
現状を打開する為には、強い意志と行動が必要だった。
母はそれが出来なかった。
何故なら母は、父と兄に強い罪悪感を持っていたからだ。
まぁ、色々やらかしてた訳だ。
まずは兄の事。
母は産まれたばかりの兄を愛せなかったらしい。
故郷の北海道から関東に移った父と母。
出産こそ北海道でしたが、すぐに関東に戻っての子育て。
慣れない環境や、初めての出産。
受けるストレスは多大なものになった。
そんな中での兄の子育ては、ネグレストなものになったらしい。
「愛着障害」「アダルトチルドレン」の本を読むと、必ずと言って良いほど出てくる話がある。
0歳から2歳頃までの育児は、全体の中でも特に重要。
そこでどれだけ愛情(ザックリ捉えて下さい)を受けたかで、心や脳のその後の成長が決まってくる。
ザックリ言うと、人生の経験なんかで人格は作られるけど、人生のスタートラインは2歳頃までの親の育児で決まるって事。
勘違いしないで欲しいのだけど、その人の人生なんて、その後の経験や努力で決まると思う。
あくまでスタートラインの話。
話を戻します。
そんな感じで兄の幼児期を愛せなかった母。
兄とは違って愛せたチッタ。
兄とチッタへの愛情の持ち方の違いから、兄に対する強い罪悪感を持ったとの事。
次に父の事。
結果から言うと、母は不倫した!!
父と母が関東に移った後に、関東圏内で引っ越した。
その頃の兄は小学5年生。
小学校に入学したてのチッタと違い、兄は新しい土地で馴染めずに不登校やらの問題を抱えた。
母は、そんな兄の為に頑張った。
アルコールに溺れた父の尻拭いを頑張った。
その辺の心労からか、飲みの席で出会った男性と不倫してしまったらしい。
因みに、不倫を明るみにしたのはチッタである。
小学5年生のチッタは、渋めのカッコいいオッサンと飲み屋で肩を抱く母の写真を発見。
当時、男女の仲を理解していなかったチッタだが、面白センサーが反応した。
兄と父に見せた。
パーティ用のクラッカーだと思っていたものは、不良品だったらしい。
我が家にとんでもねぇ爆発が起きた。
人には、知らない方が良い事もある。
チッタはひとつ賢くなった。
ひとつ注意。
父は母の不倫を知って、酒に溺れて働かなくなったのではない。
酒に溺れて働かなくなった父への追撃の不倫だ。
まぁ、似た様なもんかw
そんな、「母のやらかし」は母自身に強い罪悪感を持たせた。
父と兄の心を壊した責任という自負から、母は現状維持の選択しか出来なかった様であった。
しかし、現状維持なんてのは悪い方へ向かう一方なのだ。
父が北海道に戻る事によって、我が家においては問題がひとつ減った。
しかし、歯止めの効かない兄の問題は悪化の一途を辿る。
打開策を取らない母。
打開策を取ろうとするチッタを止める母。
そんな母の罪悪感は、チッタの心に重くのしかかる。
最後には、チッタという息子をも失う事になった。